Markup 桜ういろうログ: 4月 2019

2019年4月25日木曜日

【杉田水脈】高円寺の騒動は選挙妨害か?

 杉田水脈衆院議員(比例中国ブロック)が今月16日、統一地方選後半戦の杉並区議選(21日投票、22日開票)の応援演説でJR高円寺駅前を訪れた際、集まった群衆の一部から抗議の声が上がりました。この様子を「選挙妨害」だと非難する意見も相次いでいます。
 ここで一度、同様のケースでは当局がどう動いたのか、なぜあの場所で抗議活動が先鋭化したのか、今後どうするべきなのか、といったことを考えたいと思います。

▽集客の好条件

まず当日の様子を振り返ってみましょう。
 前日の15日午後8時14分、杉並区議候補だった男性がツイッターで杉田氏が高円寺駅南口に応援演説に来ることをアナウンスしたことから始まります。
 この情報はまたたく間にリツイートされ、情報が拡散されることになりました。
 杉田氏も16日午後1時、「本日、本会議とレクの終了後、高円寺駅に向かいます!よろしくお願いいたします」とツイート。
 予定通り準備が進む様子がリアルタイムで伝わりました。
 高円寺駅は新宿からJRで数分で、19時の開始時間は帰宅時間と重なったこともあり、多くの人が杉田氏を見ようと訪れました。
 演説の開始と共に現場の様子を伝えるツイートが次々と投稿され始めました。

 映像を見る限り、聴衆の行動は昨年の「LGBTは生産性がない」とする論文に対する抗議が中心で、プラカードを掲げて大声で「帰れ」と連呼する様子が目立ちました。
 杉田氏に対して話しかける人も現れ、現場の混乱した状況が伝わってきます。

 今回の一件は、事前に本人らから直接広報がなされたことに加え、演説場所のアクセスのよさ、仕事帰りにも寄れる時間設定などの条件がそろい、カウンターを含めた大量の聴衆が集まり、大きな抗議に発展したものと考えられます。

▽選挙妨害は重罪

こうした様子に杉田氏を擁護する立場の人たちからは「選挙妨害だ」という声が上がっています。
 さっそく法律を見ていきましょう。
 公職選挙法225条は次のように規定しています。
(選挙の自由妨害罪)
第二百二十五条 選挙に関し、次の各号に掲げる行為をした者は、四年以下の懲役若しくは禁錮こ 又は百万円以下の罰金に処する。
一 選挙人、公職の候補者、公職の候補者となろうとする者、選挙運動者又は当選人に対し暴行若しくは威力を加え又はこれをかどわかしたとき。
二 交通若しくは集会の便を妨げ、演説を妨害し、又は文書図画を毀き 棄し、その他偽計詐術等不正の方法をもつて選挙の自由を妨害したとき。
(三は省略)

 確かに、応援演説をする者は「選挙運動者」に該当し、大声を出すことは「威力」という解釈が成立します。演説の妨害に関しても記述がありますね。
 さらに同法230条では多人数で225条を違反した場合の罰則を細かく規定しています。
(多衆の選挙妨害罪)
第二百三十条 多衆集合して第二百二十五条第一号又は前条の罪を犯した者は、次の区別に従つて処断する。選挙に関し、多衆集合して、交通若しくは集会の便を妨げ、又は演説を妨害した者も、同様とする。
一 首謀者は、一年以上七年以下の懲役又は禁錮に処する。
二 他人を指揮し又は他人に率先して勢を助けた者は、六月以上五年以下の懲役又は禁錮に処する。
三 付和随行した者は、二十万円以下の罰金又は科料に処する。

 首謀者に関しては有罪が確定すれば「最低でも懲役1年以上」、指揮した者は「6か月以上の懲役・懲役刑」となるのがポイントです。また周辺で一緒に騒いだ人たちも20万円以下の罰金または科料があるそうです。
 これは相当重い罪です。

▽首相のケースも逮捕者ゼロ

ただ実際に選挙妨害で立件されるのは、候補者自身の当選を阻む目的で、街頭演説中に本人に暴行を加えるケースが大半なようです。
 最近の事例を調べると、2015年11月の大阪市長選で、街頭演説をしていた陣営関係者に「殺すぞ」と言って模造刀を振り回した男が逮捕されています。13年7月には参院選東京選挙区に立候補した鈴木寛候補の街頭演説では、ペットボトルの液体を鈴木氏にかけた女が逮捕され、12年の衆院選では、堺市の男が街頭演説中の候補者の選挙カーのドアを開けて中に放尿したとして現行犯逮捕されています。
 杉田水脈議員のケースで言えば、彼女の主張に抗議したい人が集まったのであり、杉並区議候補の当選を阻む目的ではないようです。
 これは17年7月の東京都知事選でも秋葉原駅前で街頭演説に臨んだ安倍晋三首相に対し、聴衆の一部から「やめろ」「帰れ」というコールが起き、菅義偉官房長官が「選挙妨害だ」と批判したケースが今回の杉田氏の事例と重なります。
 その際も、結局のところ立件された人は出ませんでした。
 逮捕に至った事例では、模造刀を振り回したり液体をかけるなど、誰がどう見ても候補本人を含む陣営を恐怖に陥れる行動だったのが特徴です。それに対し、杉田氏のケースはプラカードや声で候補者以外に対し別のテーマに関して抗議しているだけです。
 もし立件するとすれば、相当ハードルが高そうです。
 ただ、杉田議員の騒動に関する夕刊フジの記事には「中にはビンを投げつけようとした者まで現れ、警察官に連行されたという」という記述があります。
 しかしツイッターに投稿された多数の映像にはそうしたシーンは一切写っておらず、あれだけの人数が集まったにも関わらず目撃情報すらありません。現場に展開した多数の警官に誰も現行犯逮捕されていません。
 通常の記事なら、「杉並署によると」「警視庁によると」と出所を明記するものですが、それもないため印象操作のための流言飛語のようにも読めます。
 もし、そうでないなら夕刊フジ側がきちんとソースを明示すべきです。

▽求心力維持に利用も

杉田氏はLGBTを傷つけた記事について謝罪せず、単に「誤解を招き心苦しく思っている」と釈明し、あたかも誤読した国民が悪いと決めつける表現で神経を逆なでしました。安倍首相も「まだ若いですから、そういうことをしっかり注意しながら仕事していってもらいたい」と擁護しています。
 杉田議員は比例単独で当選しているので、国民が選挙で直接審判を下すことはできません。不満を持った首都圏の人々が抗議の声を直接伝えられる場所が、今回の応援演説だったのかもしれません。「#会いに行ける杉田水脈」というハッシュタグがトレンド入りしたのも、機会を待ち望んでいた国民の多さを物語っています。
 カウンターの人たちは杉田氏に国民の怒りを伝える目的で集まったに過ぎず、それが、たまたま街頭演説の場所だったというのが真相のようです。
 ちなみに、全国的に有名になった候補者は、その後無事に区議に初当選しました。
 当の杉田氏は22日のご自身の誕生日に際し、暴力的な選挙妨害があったことなどを列挙し「卑劣な人たちの圧力に屈しない」と主張するツイートを3連投しました。最初のツイートに対しては1万以上の「いいね」が付き、結果として支持者の求心力を強めることに成功したようです。
余談ですが、なぜかこのツイートでパーティー券の購入を呼びかけており、ツイッターでは「これが被害者ビジネス」と揶揄する声も出ています。


▽権力監視には証拠収集を

公職選挙法の適用は慎重になされている面があり、選挙妨害の立件には直接的な暴力があったことを立証できなければ難しいようです。
 ただ今回のカウンター活動は、応援演説という選挙活動の中で実行されているため、検挙を免れたとしても違法スレスレの行動と批判される懸念があることも認識すべきでしょう。
 私個人としては、杉田氏には自由に話してもらい、その映像を撮影したり音声を録音してチェックしようという立場です。そのことが杉田氏のデマやヘイトを抑止し、国民の分断を煽るような活動を阻止することにつながるからです。
このところ相次いで安倍政権の閣僚が辞任していますが、応援演説などで不用意な軽口を叩いた一言が原因となっています。動かぬ証拠こそ、力を持つのではないでしょうか。
 国民が権力者を監視している姿勢を見せることが大事だと思います。

【杉田水脈】高円寺の騒動は選挙妨害か?

 杉田水脈衆院議員(比例中国ブロック)が今月16日、統一地方選後半戦の杉並区議選(21日投票、22日開票)の応援演説でJR高円寺駅前を訪れた際、集まった群衆の一部から抗議の声が上がりました。この様子を「選挙妨害」だと非難する意見も相次いでいます。  ここで一度、同様のケースでは...